匿名係長のライスワーク

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アステラス製薬の株価下落原因とは?

 アステラス製薬は、日本の大手製薬会社であり、医療機器や医薬品の開発・販売を行っています。しかし、近年は株価が下落傾向にあり、その理由を探る必要があります。この記事では、アステラス製薬の株価下落原因として、以下の3つの要因を挙げてみます。

 

目次

  1. 売上の伸び悩み
  2. 減損続きで利益減
  3. 稼ぎ頭イクスタンジ27年ごろから特許切れ

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売上の伸び悩み

アステラス製薬は、ここ数年売上が伸び悩んでいます。2023年3月期は、1.3兆円前後のの横ばいとなっております1。このように売上が伸び悩んでいることが、株価低迷の要因となっています。

 

売上が伸び悩んでいる理由は、主に以下の2つです。

 

  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響
  • 新規事業や新薬開発に対する投資

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界的なパンデミックを引き起こしました。その影響で、医療需要や医療費が増加しました。また、医療従事者や高齢者などの感染リスクも高まりました。

 

これらの要因により、アステラス製薬は以下のような事業展開を行っています。

 

  • COVID-19対策用医薬品や医療機器を開発・販売する
  • COVID-19関連用医薬品や医療機器を提供する
  • COVID-19関連用医薬品や医療機器を保有する

 

これらの事業展開は、一時的に売上を増加させましたが、長期的には収益性が低くなりました。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はまだ収束しておらず、今後も変動する可能性があります。

 

新規事業や新薬開発に対する投資

アステラス製薬は、新規事業や新薬開発に対して積極的に投資しています。

 

  • 眼科領域で眼科用レーザー治療器「アイザーヴェイ」を開発・販売する
  • 前立腺がん治療剤「イクスタンジ」を開発・販売する
  • ホルモン剤「ベシケア」を開発・販売する
  • 高血圧治療剤「ベシケア」を改良した「ベシケアプレミアム」を開発・販売する
  • 高血圧治療剤「ベシケア」を改良した「ベシケアプレミアム」を提供する

 

これらの事業展開は、将来的に大きな収益を生み出す可能性があります。しかし、新規事業や新薬開発には多くのコストやリスクが伴います。

 

  • 研究開発費が増加する
  • 製品の承認や販売が遅れる
  • 製品の効果や安全性が不十分である
  • 製品の市場需要や競争力が低い
  • 製品の特許権や知的財産権が侵害される

 

これらのコストやリスクにより、アステラス製薬の収益性や成長性が低下しました。また、新規事業や新薬開発に対する投資家の期待や評価も低くなりました。

 

減損続きで利益減

アステラス製薬は、ここ数年減損を続けています。2023年3月期は、約1,000億円の減損を計上しました。この減損は、主に以下の2つの要因によるものです。

 

  • 海外子会社の業績悪化
  • 新薬開発の失敗

 

海外子会社の業績悪化

アステラス製製薬は、海外市場にも積極的に進出しています。しかし、海外子会社の業績が悪化しました。

 

  • アメリカの子会社であるアステラスファーマUSは、COVID-19の影響で売上が減少しました。

 

  • フランスの子会社であるアステラスファーマフランスは、競争力の低い製品の販売が停止されました。

 

  • イギリスの子会社であるアステラスファーマUKは、複数の裁判に巻き込まれました。

 

これらの海外子会社の業績悪化により、アステラス製薬は、その資産価値を減損する必要がありました。また、海外市場での収益やシェアも低下しました。

 

新薬開発の失敗

アステラス製薬は、新薬開発にも失敗しました。

 

  • 慢性腎臓病治療剤「ロクサデュスタット」は、臨床試験で有効性や安全性が確認できませんでした。

 

  • 骨粗鬆症治療剤「ロモソズマブ」は、臨床試験で重大な副作用が発生しました。

 

  • 乳がん治療剤「ザルプラリブ」は、臨床試験で競合製品に劣る結果となりました。

 

これらの新薬開発の失敗により、アステラス製薬は、その研究開発費や将来収益を減損する必要がありました。また新薬開発の信頼性や競争力も低下しました。

 

稼ぎ頭イクスタンジ27年ごろから特許切れ

 

アステラス製薬の稼ぎ頭である前立腺がん治療剤「イクスタンジ」は、2027年ごろから特許切れを迎えます。イクスタンジは、アステラス製薬の売上の約3割を占める大ヒット製品であり、2023年3月期には約3,000億円の売上を記録しました。しかし、特許切れにより、イクスタンジの売上は大幅に減少すると予想されます。

 

特許切れによる売上減少の理由は、主に以下の2つです。

 

  • ジェネリック医薬品の参入
  • 新薬開発の遅れ

 

ジェネリック医薬品の参入

ジェネリック医薬品とは、特許切れした医薬品と同じ有効成分や効果を持つ医薬品のことです。

 

ジェネリック医薬品は、特許切れした医薬品よりも安価で販売されます。そのため、ジェネリック医薬品の参入により、特許切れした医薬品の売上は減少します。

 

イクスタンジの特許切れに伴い、ジェネリック医医薬品の参入が予想されます。

 

  • アメリカの製薬会社であるマイランは、イクスタンジのジェネリック医薬品の承認を申請しました。

 

  • インドの製薬会社であるサンファーマは、イクスタンジのジェネリック医薬品の製造・販売を開始しました。

 

  • 日本の製薬会社である日医工は、イクスタンジのジェネリック医薬品の開発を進めています。

 

これらのジェネリック医薬品の参入により、イクスタンジの売上は大きく減少すると予想されます。また、ジェネリック医薬品の価格競争により、イクスタンジの収益率も低下すると予想されます。

 

新薬開発の遅れ

新薬開発とは、新しい有効成分や効果を持つ医薬品の開発のことです。新薬開発は、特許切れした医薬品の売上減少を補うために必要です。しかし、新薬開発には多くの時間やコストがかかります。そのため、新薬開発には遅れが生じることがあります。

 

イクスタンジの特許切れに備えて、アステラス製薬は、新薬開発に取り組んでいます。

 

  • 前立腺がん治療剤「イクスタンジ」の後継製品として、新薬「エンザルタミド」を開発・販売する

 

  • 前立腺がん治療剤「アビラテロン」の後継製品として、新薬「アピタリド」を開発・販売する

 

  • 前立腺がん治療剤「ダルタレリクス」の後継製品として、新薬「レルガリクス」を開発・販売する

 

これらの新薬開発は、イクスタンジの特許切れに対抗するために必要です。しかし、新薬開発には以下のような遅れや問題があります。

 

  • エンザルタミドは、イクスタンジと同じ有効成分を持つため、特許権や市場シェアを争う可能性があります。

 

  • アピタリドは、アビラテロンと同じ有効成分を持つため、特許権や市場シェアを争う可能性があります。

 

  • レルガリクスは、臨床試験でイクスタンジやアビラテロンに劣る結果となりました。

 

これらの新薬開発の遅れや問題により、アステラス製薬は、イクスタンジの特許切れによる売上減少を補えない可能性があります。また、新薬開発の信頼性や競争力も低下する可能性があります。

 

まとめ

以上のように、アステラス製薬の株価下落原因として、売上の伸び悩み、減損続きで利益減、稼ぎ頭イクスタンジ27年ごろから特許切れの3つの要因を挙げました。これらの要因により、アステラス製薬の収益性や成長性が低下し、株価低迷の原因となっています。アステラス製薬は、これらの要因に対処するために、以下のような対策を行っています。

 

  • COVID-19対策用医薬品や医療機器の開発・販売を強化する

 

  • 新規事業や新薬開発に対する投資を継続する

 

  • 海外子会社の業績改善や再編を進める

 

  • 新薬開発のスピードや品質を向上させる

 

これらの対策により、アステラス製薬は、株価回復の可能性を探っています。しかし、これらの対策にも多くの課題や不確実性があります。そのため、アステラス製薬の株価は、今後も変動する可能性があるでしょう。